ハリケーン「リタ」の後

カテリーナのすぐ後にまた大型ハリケーン「リタ」が襲ってきた。ヒューストンをはじめ海岸の町の人々が避難して、人っ子一人いないゴーストタウンのようであったが 今日、9/25日曜日にはヒューストンには大方の人々が帰り、ほぼ平常にもどりつつあるそうだ。
ヒューストンのビル ホワイト市長は250万人の市民を避難させ、海岸の町も含めて今のところ死者2人におさえることができたという。日曜日の今日は電気会社を皮切りに、食料品店、ガススタンド始め生活に必要な営業は一刻も早く再開するようにという市長の呼びかけに従い、次第に正常な状態にもどりつつあるそうだ。スターバックスも開いているとか。

ヒューストンといえば250万の人口をかかえる全米でも屈指の大都会。250万人の人を事故なく動かし、車のない人々にはバスを運行して非難させ、またすぐに戻して平常とおりの生活を営むようにさせるには州の知事と、そこに直結した地元の市長はじめ地方自治体のリーダーシップが必要である。また警察、消防署がニューオリーンズのように逃げてしまうのではなく、留まって嵐の中で働こうという奉仕精神と日ごろの鍛錬がないとできない。さらにいえば、市民一人一人の自立精神と協力姿勢があって初めて成し遂げられたと思う。

ニューオリーンズのように略奪があったわけでもなく、人殺しやレイプがあったわけでもなく、この姿を見ると、やはりニューオリーンズで起こったことの特殊性が際立ってしまうことは否めない。悪いことはすぐニュースになるが、うまくいった時は誰もそれをニュースにしないのは世の常だ。

ヒューストンにもたくさんのアフリカン アメリカンは住んでいる。いったいこの違いは何だったのだろうか。

こういうことはすぐジョークのネタに使われる。
例えば、「民主党のハワード ディーンはハリケーン カトリーナの問題はブッシュの責任だ。そしてハリケーン リタに襲われたのもブッシュに問題があるとさけんでいたけど、それはまるで、ブッシュがホワイトハウスの地下室のラボで試験管の中にハリケーンの元を作ってばら撒いていると言っているようなものではないか。
それは間違いだ!ハリケーンの元をかき回して作っているのはニュー オリーンズのバーの裏、「オブライアン」ではないか」
これは「ハリケーン」という名前のカクテルがニューオリーンズのアイリッシュバー「オブライアン」の名物であることをもじっているジョーク。
このジョークを言ったのはアフリカンアメリカンのコメディー トークのスター、クリス ロックで彼は白人のネタでも黒人のネタでも公平に鋭く面白くついてくるインテリといわれている。

彼のもうひとつのジョークは:
ニューオリーンズの屋根に登って助けられた人は皆ブラックばかりだけど、ホワイトはどうしたんだ? 
ホワイトかい?皆水の中で死んでるよ。
助けられるのは我らブラックだけだよ。それみろ!」
なーんて、ニューオリーンズのアフリカンアメリカンには耳の痛いブラック ユーモアを言っていた。これはアフリカンアメリカンだから言えるジョークでホワイトがいったらきっとたいへんな騒ぎになったと思うけど...。

ジョークではないが、カテリーナにひどくやられたミシシッピーのある街。復旧に連邦政府からの援助金がもらえることになったが、それを断った。住民たちは「自分たちの町は自分たちの手で復旧する」ということだ。アフリカン アメリカンも多く住むところであるが、連邦政府の援助金に依存するニューオリーンズの姿勢には組みしないという態度を明らかにしたとしてニュースになった。

ニューオリーンズからの「問題の避難者たち」はテキサスはじめ全米にちらばったが、その後市長の呼びかけで「街に戻って復旧作業をしよう」といっても、戻るかどうか。「リタが来るからまだもどるな」といっても戻ってしまった人々は別にして。これもこまったものではあるが...。

ニューオリーンズで起こったあの略奪、レイプ、殺人。アメリカはこんな国だったのかと、世界中からたたかれたブッシュであったが、アメリカの反応は半々であったようだ。世論に追従しないひとたちは口をとざしていたが、リタが去った今、口を開き始めた。民主党があおりにあおり、それにマスコミが追従していたが、現実的に考えれば...とか、公平に見れば...ということで話始めている。

ラジオ局に電話でこんなことを言った人がいる。「今回はニューオリーンズの復興に我々の税金はつかってもいいけど、この次の時はもうニューオリーンズの復興は自分たちでやるんだね。」と。