貧しさと、依存心と

http://www.foxnews.com/story/0,2933,168777,00.html
Thursday, September 08, 2005 By Bill O'Reilly
 ビル オラリーといえば、ラジオ、テレビで歯にもの着せぬ核心にせまる超現実派のニュース トーク ショーのスターだ。
カテリーナの災害以来この10日間、彼は右側からも左側かもかなり叩かれて続けている。彼がガソリンの価格が上がったのはガソリン会社がこの機に上げたからで、即刻下げろと発言して右側から叩かれ、カトリーナで「貧しい人よ、自立せよ。もう政府を頼らないことだ。政府はなにもしてくれないのだから」という発言でこれまた右側だけでなく、左側からもこってりやられている。「貧しい人が政府を頼っている。自立しろ」という部分が左側から叩かれるわけだ。

 不屈の彼は批判に答えてコラムニストのリズ スミス(Liz Smith)の言葉を挙げる。
「フォックス ニュースの帝王ビル オラリー(え?これってオレのこと?とビル)が言うには、カテリーナをとうして分かったことは、もし我々アメリカ人はどんな理由であれ、米連邦政府を頼ったら、ただ失望するだけだ。アメリカに、特に、ニューオリンズの貧しい人々に、教育を受けていい給料を稼げる仕事を持てと、ビルはアドバイスする。そうすれば、今度、洪水に見舞われた時、屋根の上にしがみついている必要はないのだと。どうしたらちゃんとした教育が受けられて、いい仕事につけるかはビルは言っていないが、みなさん、忘れないでほしい!連邦政府はなんの助けも出来ないのだ。」とリズは言った。

 さて、リズ!リベラル主義だけどあなたは正直で公正だ。だからあなたの言葉に答えよう。
米国では義務教育があり、学校に行くか、家庭学習者は試験にパスしなければならない。でも、誰一人学校で生徒が勉強することを強制していない。どんなに政府がいいプログラムを考えても生徒自身が一生懸命勉強しなかったら、いい仕事を得ることはできない。たくさんの子供たちは学校に行くだけで勉強をしていない。
 そこで、この度の災害でニューオリンズの貧しい人々が苦しむ様子をビデオに納めて、すべてのアメリカの子供に見せることを義務付けることだ。なぜなら彼らは町から逃げることができなかった。すべての先生は生徒たちに「もし一生懸命勉強することを拒否するなら、もしギャングの生活に甘んじるなら、このニューオリーンズの人々のように貧乏になって洪水が来てもなんの力もなく屋根に登るだけで、街から逃げられないんだよ。」というべきだ。

 この国では誰でもただで公立の教育を受けられる。公立図書館もただ。コミュニティー カレッジも安価だし奨学金もある。政治家は子供たちの技術の開発はしないのだ。子供が自分でしなければならない。
ハリケーン カトリーナ連邦政府の失策をさらけだし、そもそも連邦政府としてやりすぎなのだ。頼るのは自分だ。教育を受けろ。自分のことは自分でする。それがカテリーナからの教訓だ。

....というのがビルのトークであった。連邦政府を怠慢と批判する側や、人種問題を取り上げる人や、心からの同情心を持つ人をばっさり切った過激な発言だ。ブッシュへの多くの批判とはまったく逆の方向から連邦政府はやりすぎ...と突いている。かなりシニカルである。
我々はシニカルと思いながらも、彼の主張に納得しそうになるのはどうしてなのだろうか?これは多くの人の胸の奥の疑問をついているからかもしれない。ルイジアナ州の州政府はいったい何をしていたのか......という疑問である。

 例えば、サンフランシスコからベイエリア一帯が15年ほどまえに大地震に見舞われた時は州内でまず対処。全力投球し後からもちろん連邦政府からの援助はあったし、全米からの寄付、支援はたくさんいただいたが、大統領が来ることもなかった。
もっともカリフォルニアは豊かな州である。比較はできないが。それでも州法といってそれぞれの州で自分たちの法律をもつほど州というのは独立したものである。そこで当然素朴な疑問として、ルイジアナ州の州政府は何をしていたのかと心の中では思う。それを口すると、貧しいアフリカンアメリカンのことを何と思っとるのかと、自分自身ですら自問してしまう。だからこの疑問は胸の隅のほうに閉まっておいた。ところがビルははっきりと言ってしまった。連邦政府はやりすぎだと。連邦政府を頼らず自分のことは自分でせよと。車を持った人々が水が来る前に逃げたようにと。車を持てるように勉強して仕事につけと。

 ともあれビルは大変現実主義者で、日本がアジアの津波の寄付金が世界一だった時には「日本を除いてアメリカは世界一で、日本はアジアに力を及ぼそうとしているからたくさん出したのだ」という言葉を聞いた時は日本人として私はかなり気を悪くしてしまった。日本は常に天災に見舞われ、その痛みを知っているから「さぞ、たいへんでしょう、かわいそうに」という気持ちをもっている。そういうやさしい日本人の気持ちに関心を払わないビルにがっかりしてしまった。しかし政治的側面からいうと彼のいうことは的はずれではなかったであろう。彼は感傷的なことは除く。人々の気持ちより、現実的、政治的側面からものを捕らえる。カテリーナの問題がここまでくると、彼のような現実的、抜本的指摘もひとつの考えとして捨てることはできないのではないか。

 今日(9/12)ニューオリンズの避難者500人がコロラド州に飛んだ。避難先もテキサスだけでは賄いきれず、全米に散らばって送られている。彼らが飛行機に搭乗するにあたって、所持品のチェックがあるが、500人中497人が拳銃を所持、そのうち140名が拳銃に加えてナイフを持っていたのが発見された。
凶器をもたなかった人は500人中たった3人であった。