「豊かな国土とそこに根を下ろした国民の生活を取り戻せなくなることが国富の喪失だ」と、大飯原発差し止め。

国富、国の宝は何か? 国富とはお金ではなく、お金では買えない豊かな国土とそこに根を下ろした国民の命、生活が国富であるとした今回の判決を高く評価したい。

原発は高い。事故の危険は常にあり、出口のない原発は収束は不可能なのだ。それでも仮に低コストだとしよう。仮にそうだとしても原発を停止することが国富の流出や喪失ではない。それは国富をお金とする考え方が根本だ。世界中、富、豊かさがお金に換算されてしまって長いことたつ。

その中で、日本人は地道に、お金ではない豊かさを保ち続けてきた。それは名もない人々の日々の生活の中にある。名があろうが、なかろうが、心ある人々の発言、行動の努力にもよる。
今こそ、ほんとうの国の富はその国に住む人々の命と、彼らの毎日の生活、考え方、生き方、心、人生にあることに、政治家も、原子力ムラの拝金主義者たちも早く気がついていただきたいと思う。


大飯原発3・4号機差し止め請求裁判

   5月21日 判決 勝訴

  主文:大飯発電所3・4号機の原子炉を運転してはならない

社説:大飯原発差し止め なし崩し再稼働に警告
毎日新聞 2014年05月22日 02時31分
http://mainichi.jp/opinion/news/20140522k0000m070118000c.html


 福井県にある大飯原発3、4号機の運転差し止めを住民が求めた訴訟で、福井地裁は、関西電力に対し再稼働を認めない判決を出した。判決の考え方に沿えば、国内の大半の原発再稼働は困難になる。判決は、再稼働に前のめりな安倍政権の方針への重い警告である。


 2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、差し止め訴訟で初めての判決だ。住民の生命や生活を守る人格権が憲法上最高の価値を持つと述べ、「大災害や戦争以外で人格権を広範に奪う可能性は原発事故のほか想定しがたい。原発の存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然」と結論付けた。
(中略)
 関電側は控訴する方針で、上級審が改めて判断する。
(中略)


 訴訟で関電側は、再稼働が電力供給を安定させ、コスト低減につながると主張した。
これに対し判決は「運転停止で多額の貿易赤字が出たとしても国富の流出や喪失というべきではない。
豊かな国土とそこに根を下ろした国民の生活を取り戻せなくなることが国富の喪失だ」と退けた。
(中略)


 安倍政権は、安全審査に適合した原発の再稼働を進める方針を示している。だが、震災を忘れたかのように、なし崩し的に運転再開しないよう慎重な判断をすべきだ。