ビデオ流出 / 権力のチェック役の新聞が大々的に報道すべきなのは、政府の悪事(Or 不祥事)か、内部告発者の犯罪か。


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政府の悪事(Or 不祥事) = 尖閣沖ビデオ流出問題を不祥事とするより下記の問題点を悪事(Or 不祥事)と私は考えます。ここは問題を矮小化して摩り替えないでほしい。 (Mapple)

  • 尖閣諸島問題」では菅総理、前原外相、仙谷官房長官柳田法相は、責任を那覇地検に押し付け、責任を回避。
  • 最初の拿捕理由の不適格な政府の判断
  • 日本政府が中国人船長を釈放した経過がまったくわからない。責任回避
  • 前原外相の問題発言
  • 仙谷官房長官の不可解な言動
  • 尖閣沖ビデオを公開しなかった根拠が不明。


いろいろな意味で牧野洋氏の記事は含蓄深いということで再度転載しました。牧野洋氏が、上記の前提で書かれたことではありません。
以上、Mapple 記


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現代ビジネス 2010年08月05日
牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」 牧野 洋...より抜粋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/971


再度 投稿[この記事、日本の有力メディアのどこが腐敗しているか勉強になる !]
(カリフォルニア・加州ラジオ草紙 2010-08-05)
http://d.hatena.ne.jp/Mapple/20100805




牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」..より抜粋


内部告発者は犯罪」という政府と真っ向対決

 政府が国民の目から隠れて、悪事を働いている。
ある時、内部告発者が現れ、それを暴露する。
政府は「内部告発者は犯罪人。だから信頼できない」と反撃する。


 こんな状況下で、新聞はどう対応すべきか。
大々的に報道すべきなのは、

  • 政府の悪事か、
  • それとも内部告発者の犯罪か。


 9万点に上るアフガン戦争秘密文書「アフガン戦争日記」の暴露が格好の事例になる。


 7月26日、匿名の内部告発を公開するウェブサイト「ウィキリークス」から情報提供を受け、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙など一部の有力メディアがアフガン戦争日記について一斉に報じた。同文書には、アメリカ軍の攻撃によって多数の民間人が巻き添えになって死亡した記録をはじめ、「政府が隠しておきたい情報」が含まれている。


ウィキリークスからの情報提供を受け、7月26日の1面トップ記事でアフガン戦争の秘密文書について報じるニューヨーク・タイムズ


 ホワイトハウスは怒り心頭に発した。


国家安全保障担当の大統領補佐官ジェームズ・ジョーンズは声明を発表し、「秘密情報を暴露すると、アメリカと同盟国の人命を危険にさらし、わが国の安全保障が脅かされる」と抗議した。

 ウィキリークス内部告発した人物がだれなのか分かっていない。軍関係者がアフガン戦争日記を盗み出したとすれば、犯罪行為になる。

 国防長官ロバート・ゲイツは「リーク元の特定に向け徹底的に調査する」と強調したうえで、連邦捜査局(FBI)にも協力を求めたことを明らかにした。


 さて、アメリカの有力メディアはアフガン戦争日記の暴露をどう報じたか。


「軍の秘密情報の漏洩は重大犯罪。内部告発者を早急に特定すべき」
「軍の情報管理はずさん。管理体制を抜本的に見直すべき」


――こんなトーンで1面記事を掲載した大新聞があっただろうか。

 皆無である。


「政府の悪事」が明らかに重大であるのに、

内部告発者の犯罪」を1面トップのニュースとして伝えたら、政府の御用新聞と見なされかねない。
権力のチェック役を自任しているならば、何によりも「政府の悪事」の究明に全力を上げなければならない。

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「政府の悪事」に力点を置くのは、報道機関として当然の行為である。


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.....Page 4

フェルプスによると、初報の編集作業が終わった土曜日の夜、ペンタゴンペーパー取材班はニューヨークのイタリア料理店でワイングラスを傾けながら祝杯を上げた。その席で、フェルプスはみんなに聞いた。

「過去数ヵ月、われわれはペンタゴンペーパーの分析に没頭してきた。ここから何を学べただろうか?」

 だれかが「政府を信用するなということ」と言うと、全員が同意した。


フェルプスの言葉を借りれば、「十分にウラを取らない限り、政府筋から聞いた話は決してそのまま信じてはいけない」で一致した。


「法を無視する内部告発者は信頼できない」といった声は出なかった


 NYTなどの有力メディアは、数十年前にエルスバーグの内部告発情報を1面で報じたように、ウィキリークス内部告発情報も1面で報じた。


政府と二人三脚で「ウィキリークスたたき」に走ることはなかった。


結果的に、2006年にウェブサイトを立ち上げたばかりのウィキリークスは大躍進することになった。


 カギを握るのは、大新聞など有力メディアが匿名の内部告発を「うさんくさい」として自動的に排除することなく、独自に分析・検証したうえで1面記事として報じるかどうか、である。


この視点に立つと、ウィキリークスは日本では苦戦しそうだ。


 ペンタゴンペーパーやアフガン戦争日記に匹敵するほどの内部告発は、大規模な対外戦争とは無縁の日本では起きにくい。だが、分野や影響度の違いを無視すれば、「政府の悪事」を暴く内部告発はある。


 例えば、2002年に表面化した検察庁の裏金疑惑をめぐる内部告発だ。


紙面上では「内部告発者の犯罪」が「政府の悪事」を圧倒していた。


これについては次回で触れる。

(敬称略)

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牧野 洋 (まきの よう)

1960 年東京生まれ。
1983年慶応義塾大学経済学部卒業。同年日本経済新聞社入社、英文日経記者。
1988年ニューヨークのコロンビア大学大学院ジャーナリズムスクール卒業、修士号取得。証券部記者などを経て、
1993年からチューリヒ
1996年からニューヨークに駐在し、欧米の資本市場や企業経営を取材。
1999年に帰国して日経ビジネス編集委員
2003年に日本経済新聞編集委員
2007年6月、独立してフリーランスに。
独立後、日本コーポレート・ガバナンス・フォーラムの運営委員。


<主な著書>『最強の投資家バフェット』(日経ビジネス人文庫、2005)
ドラッカー 20世紀を生きて』(訳・解説、日本経済新聞社、2005)
『誰も知らない郵政帝国』(共著、日経BP社、2002)
『株主の反乱』(共著、日本経済新聞社、1993)など


資料 / 日本経済新聞社 より
http://www.nikkeibook.com/writer/1650/