2回もぶつかってきた中国漁船の自信は、どこから出てくるのか?

Study of History
衝突ビデオを見ました
投稿者:ウエダ 投稿日:2010年11月 5日(金)11時38分41秒
http://8706.teacup.com/uedam/bbs/9169

 こんにちは、皆さん、植田です。

 今朝、新井信介氏のサイトを拝見したら、「衝突ビデオ」の話題が出ていました。
 http://midorinonet.com/purplejade/


 ネットに「衝突ビデオ」が流出しているようです。
 本文をプリントさせてもらい、そのままネット・ビデオに向かってみました。


 ありましたよ、海保が撮影したビデオが。
 2回ともビデオで見れました。
 1回目。「よなくに」と衝突。
 http://www.youtube.com/watch?v=3k5IgLYp2YY


 2回目。「みずき」と衝突。
 http://www.youtube.com/watch?v=p-rKNgAXDJc


 撮影を見ると、中国漁船はしっかりと操業しています。
 漁をしています。

 「よなくに」は、その場所が日本の領海なので、漁をやめよ、と呼びかけています。
 しかし中国船は無視し、逆に、船首を「よなくに」に向けて、ぶつかってきました。
 そして、そのまま逃走。

 次に、「みずき」に接近に対し、またもや船首を「みずき」に向けて突進して、衝突。

 前原外相が、短いながらも国会で紹介した通りでした。
 中国漁船の衝突は、「あくどい」です。
 つまり、確信犯です。
 あたかも、「何か出来るものなら、やってみろ」といわんばかりです。
 この態度を2回も見たら、いかに憲法9条国である戦後日本の海保でも、頭にくるでしょう。
 で、当然、拿捕しました。

 ここで問題です。
 海保は、中国漁船が不正操業を始めたので、ビデオ撮影を始めたのでした。
 その時点では、まさか衝突してくるとは予想していなかったでしょう。 で、衝突してきました。
 これで拿捕に踏み切ったわけですが、さて、拿捕の理由を「公務執行妨害」にしたことは、正解だったのか?


 最初は「不正操業」ゆえのビデオ撮影でした。
 そうだとしたら、これを理由に拿捕すべきであろうし、衝突したのであれば、不正操業に加えて、公務執行妨害とすればいいわけです。
 不正操業と、公務執行妨害の2つの理由により、逮捕する、と。


 では、なぜ公務執行妨害」だけを理由に、不正操業を省略してしまったのか?


 拿捕の時点で、外交問題にしてはならない、という判断が働いたのか?
 では、判断したのは誰か?
 海保か、那覇地検か、法務省トップ(柳田大臣)か、官邸か? つまり、菅首相と前原外相はアメリカ出張中なので、仙谷官房長官か? あるいは、東京とニューヨーク(国連総会に出席)は緊密な連携をしたのか? それとも、戦後日本の実質的頭脳であるワシントンか?


 私は、尖閣諸島衝突事件は、まず第一に、この最初の拿捕理由の判断が焦点であると考えています。
 これが9月9日。
 そして9月25日に、あっさりと船長を「処分保留」で釈放。
 これは、最初の拿捕理由の結果です。
 日本が公務執行妨害で拿捕したというのであれば、中国には日本の国内法は通用しない、というのが、中国側の態度でした。


 結論的には、日本側には、最初から、事件を外交問題として処理することを回避しようとする姿勢がありありです。
 これは何か、というのが私の疑問です。


 こう考えると、中国漁船の態度が不気味です。
 船自身のあの大きさの違いがありながら、それでも衝突してきた自信は、どこから出てくるのか?
 2回もぶつかってきたわけです。
 なぜそれほどの「自信」をもっていたのか?


 何かあったら、中国政府の後押しがある、と前もって吹きこまれていたのか?
 船長が中国情報部のエージェントだったのか?
 漁そのものがスパイ工作のカモフラージュだったのか?
 中国は、2010年9月のあの時点で、領土問題を日本に対して仕掛ける国内的理由があったのか?


 それとも、中国政府は、事件が起きた後、「慌てた」のか?そして「緊急事態」対策を繰り出したのか?
 あるいは中国政府は、何もかも用意周到の上に、衝突事件を仕掛けたのか?


 以上、衝突事件における日本と中国の問題点です。
 もうひとつ、この問題ではアメリカはどこにいるか? があります。


 私は、これを『北京コンセンサス』(注)の視点から分析してみたくなりました。


 北京コンセンサスは、単に経済成長の問題に限るものではありません。
 19世紀のイギリス帝国の用語を使えば、米中間で展開される現代の「グレート・ゲーム」です。
 地球の諸国を、アメリカ側か、中国側かと2分する勢力争いです。


 この図式の中では、日本はもちろんアメリカ陣営です。
 日本は、したがって、対アメリカ関係をどうするか、そして同時に、中国関係をどうするか、という問題を解かねばなりません。
 そして、今や、ロシア・北方領土が時局の問題として動いてきました。
 菅政権には、この3体問題を解くのは、荷が重いでしょう。


 では、どうしたらいいか、ですが、私たちは、とにかくも、日本国はいかなる信念を持つか、です。
 世界はどうあったらいいのか、と。
 それには日本国は、いかなる政体であればいいのか?


 これを自分で決めないと、いつまでもアメリカの属国として、アメリカに「逆恨み」するだけです。


 逆恨みを中止しないと、アメリカという国の性格も、ありのままに見えません。


 たとえば、日本人は、アメリカという国の歴史を、そのイギリスからの植民以来、いかに評価するのか、と。そして現在を? 日本は外貨準備をアメリカ国債に預けたままでいいのか、とか。


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(注)「北京コンセンサス」 Study of History こちらの記事をご参照ください。
「北京コンセンサス」の結論
投稿者:ウエダ 投稿日:2010年11月 4日
http://8706.teacup.com/uedam/bbs/9166


大変勉強になりました。
"逆恨みを中止しないと、アメリカという国の性格も、ありのままに見えません。"......本当にそうだと実感します。
"日本人は、アメリカという国の歴史を、そのイギリスからの植民以来、いかに評価するのか、と。そして現在を?" (Mapple)



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もうひとつ Study of History より