人種問題

オバマ議員はライト牧師の件が尾を引いている感じがする。
その演説より、そういう考えの牧師様のいる教会に20年も通い、親交を継続していることに白人の間で疑問をもたれているようだ。

オバマがもし大統領に今回なれなくても、オバマの出現は充分意味あったと思う。
テレビのニュース・パネラーに必ず、アフリカン・アメリカンを各局で起用しているし、様々な分野で活躍するアフリカン・アメリカンが意見を求められている。共通しているのは、皆、標準英語を話している。いわゆるイボニック(黒人英語)ではなく・・・そしてとても冷静な意見を言う。


オバマは奇麗な英語を話す人だが、ときどき、アフリカン・アメリカン的なイントネーションも入れている。これは選挙戦略かもしれない。


昨日、キング牧師暗殺のドキュメンタリー番組を見た。彼を実際に知る人々、当時の出来事に遭遇した人々などが出て語り、実写をまじえて暗殺にいたるまでの足跡を綴ったものだ。


「カラード」と正面玄関に書かれた建物が映し出される。
メンフィス(プレスリーの故郷でもあるが)で、ゴミ収集労働者のストライキの模様が実写で・・・
1968年だからたった40年前のこと。
労働者はほとんどが黒人。警察は当時はほとんどが白人の顔ばかり。
ストライキの人々に消火の水を浴びせ、倒れた人には数人の警官が集まってこん棒や素手で殴っていた。


そんな中にキング博士はメンフィスに来た。教会で説教を説く。
合衆国憲法のこと、イエス様の言葉から、”負けないで立ち上がろう”と呼びかける。彼が泊まるホテルは安宿のようなモーテル。きっと黒人が泊まれるホテルは当時はこういう所だけだったのだろう。
今では考えられないことが現実にあったわけだ。


片や別の番組では、若者のアメリカン・ダンスのコンテスト。
ほとんどがラップ音楽に乗ってピップ・ホップのグループ・ダンスだ。
黒、白、褐色と人種も性別も、もう「一緒くた」。
しろうととはいえ技術はかなり高度で振り付けも素晴らしい。
この子達にとっては人種差別のアメリカはもう過去のことなのだろう、たぶん。


キング博士の夢「I Have a dream]の一節、
「白人の子供たちと黒人の子供たちが手をつないで一緒に学校に通う・・」これは地域差はあってもかなり近づいていると思う。
政治の分野に置き換えて「白人の人達と黒人の人達とアジア、ヒスパニックの人達が一緒にアメリカを作っていく・・・」これはもっと時間がかかるかもしれないが、オバマの人気をきっかけに政治の世界でも出発点に立ったのではないだろうか。
これはオバマ個人だけではなく、彼を応援した様々な人種の人々の存在も見逃せないと思う。社会にそういうバック・グラウンドが出来つつあるという意味で・・・。