ママの力の強い国は?

一家でママの力が強い!!
と、アメリカでよく言われているのは、
インド人社会とアフリカン・アメリカン社会。
それに住んでみて感じたのはイタリア。

イタリアは南にいくほど強いと感じた。
太っちょの大の男が「マンマ〜」と駆け寄って、
泣かんばかりにマンマの胸の懐に飛び込む。
よく海岸などで、一家の真中にパラソルをしつらえて椅子に座っているマンマ。
子供たちと孫にかこまれて、何をしゃべるでなくデンと座ってひねもす家族が遊ぶのをそれとなく見ているマンマ。
たいていリンゴ型。まわるい体型で、やさしく威厳があり、確固たる信念をもっている感じ。
子供たちは、大人も含めて、好きなことがなんでも出来て、それを大きく包容しているが、一度マンマが「Non」と言ったら、皆従う。


北イタリアの町に「姑の舌」と命名されたパンがあるが、なが〜い舌の形をしている。マンマの言うことを何でも聞く夫と嫁の間柄を彷彿とさせる。食べるととてもおいしいのだが・・・。
アメリカでは、イタリア系は混血がすすんで、こういう「マンマ」はあまり見られないが・・・


インド人のお金持ちの家族の間ではいまだに結婚は、お見合い結婚。
すべてをアレンジするのはママ。
友人のインド人の女性から結婚のあらましを聞いたが、
ディナーなど、セットされた中で、自宅に相手が招待されて始めて
相手を見る。ディナーが済み、ママからこの人はこういう人だけど、どう思うか聞かれる。
彼女はいい人だと思ったのでそう言うと、その相手はまた招待される。
こうして順次二人だけで会う機会も作られ、お互いにいいとなると結婚・・・と運びだったそうだ。


もちろん、カースト制度がどんどん崩れつつある現在、
ケース・バイ・ケースで違いがあると思うが。
伝統的に、家族のありとあらゆることにママの意見が反映されるようだ。
近年はやっているインド映画を見てもそういうシーンが出てくる。
インド映画はラブ・ロマンスが多いので、お見合いが決まった後、好きな人と縁が切れず、ママに隠れて逢瀬を・・などなど・・というストーリーが多い。


少ない経験談や、人づてにアメリカ社会でささやかれていう話から、「インド社会では家族の中で、母親が絶対権力をもっている」とおぼろげに信じての話だが・・


アフリカン・アメリカン社会。
これも千差万別だし、近頃の若者はまた違うかもしれないが、
オーソドックスな「ママ」はイタリアと同じ。
りんご型でたっぷりした体型。
どんなことが起こっても黙って受け入れ、家族の面倒をよく見る。
お料理は大得意。
子供たちが悪いことをしたら、激しく「喝!」を入れる。
だからママの言うことは聞いちゃう。
近所の子でも、「喝!」と怒鳴ると皆、首を縮める。
喝を入れられても子供は愛情たっぷり注がれていることをよく分かっている。そんなタイプの「ママ」が時々映画のシーンにも出てくる。


カリフォルニアのアフリカン・アメリカンの母親はというと、
カリフォルニア・スタイルが多い。
どの人種でもこの所ワイルドで自分勝手な母親もいるし、
子供の自由を受け入れ過ぎて、少し甘やかしぎみの傾向があると思う。
これは一般的カリフォルニア・スタイルとも言えるが、
年齢があがれば、アフリカン・アメリカンの「ママ」タイプが多い。
カリフォルニアのアフリカン・アメリカンの「ママ」は
静かに微笑むタイプ。
彼等の前にいくと「ママ〜」といいたくなっちゃう。
すべてを受け入れてきた人間性が滲み出ている。


そういうママに育った子は優秀な人々が多い。
シカゴのことはよくわからないが、
オバマ議員の妻、ミッシエルの母親も、さぞ、温かいママなのであろう。
そして、時には「喝!」を入れる母親だったのではないか。
銀行で働き、食事もたぶん手作りで、
何より家庭を大切にしてきた人だったのではないかと想像される。
ミッシエル・オバマ以上にその「ママ」に興味があるのだが・・。


オバマ議員の母親は、彼の本から、たくさんの人が知っていると思うが、40数年前にアフリカ人と結婚する白人女性。これだけで勇気と知的好奇心のかなり強い人・・という印象が持てる。


オバマ議員一家はクリスマスはハワイに住むオバマ議員の母方の祖父母のところで過ごすそうだ。シカゴに住むミッシエルの両親のところでクリスマスを過ごすのではなく、ハワイに行かせるミッシエルの母の心配りに心打たれる。


オバマ夫妻ご本人たち以上に、こういう人材を生み出した「ママ」たちに限りない敬意をはらいたいと思う。