菅直人氏は、いまは発言することのできない市川房枝氏を政治的に利用している


植草一秀の『知られざる真実』 2010年9月 5日 (日)
菅直人氏の「政治とカネ」問題市川房枝氏証言
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-5055.html

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 これ(6月11日菅直人所信表明演説より)だけを見ると、菅直人氏は市川房枝氏から信頼され、「政治の浄化」に邁進してきたかのように見える。
しかし、肝心の市川房枝氏がすでに鬼籍に入られているので、市川氏の感想を聞くことは誰にもできない。


 しかし、その市川氏が菅直人氏に対してどのような感想を抱いていたのかを示す重要な資料が存在する。
 「復刻 私の国会報告」(1992年財団法人市川房枝記念会刊)だ。

 

私の国会報告

著者:市川 房枝
販売元:市川房枝記念会出版部
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ここに、市川房枝氏による以下の記述があるそうだ。
 

「菅氏は1976年12月5日の衆議院選挙の際、東京都第7区から無所属候補として立候補した。
このときは立候補をしてから私の応援を求めて来た。
そのとき推薦応援はしなかったが、50万円のカンパと秘書(市川氏の)らが手伝えるように配慮し、「自力で闘いなさい」といった。
 

 ところが選挙が始まると、私の名前をいたる所で使い私の選挙の際カンパをくれた人たちの名簿を持っていたらしく、その人達にカンパや選挙運動への協力を要請強要したらしく、私が主張し、実践してきた理想選挙と大分異なっていた。」
 

 「政治とカネ」の問題がクローズアップされ、菅直人氏は小沢一郎氏に対して、根拠も示さずに「金と数の力にものを言わせる古いタイプの政治家」だと、聞いている者が驚くような非礼な発言を示した。
 

 小沢氏は激高することもなく、人間性に欠陥のある菅直人氏の傍若無人の振る舞いに苦笑を示していたが、NHK番組では、「政治とカネ」に一点のやましい部分もないこと、民主主義において数は重要であることを丁寧に説明した。
 

 菅直人氏が所信表明でわざわざ名前を出し、代表選のさなかに記念展示室を訪問した市川房枝氏は、上記の記述を見る限り、菅直人氏に対して極めて強い不信感を抱いていたことが分かる。文章にしてこのような表現を後世に伝えるのは、菅直人氏に対する不信感が半端なものではなかったことを物語っている。
 

 菅直人氏は、いまは発言することのできない市川房枝氏を政治的に利用しているだけに見える。市川房枝氏が菅直人氏のことを絶賛していたのなら、市川房枝氏を紹介するのもうなずけるが、市川氏自身が菅直人氏に対して、極めて警戒的な気持ちを抱いていたのだとすると、菅直人氏の行動はいよいよ見苦しい。

 
 市川房枝氏の指摘は、菅直人氏の「政治とカネ」問題そのものである。菅直人氏の政治資金の取り扱いに適正でない点、許し難い点があったことについて市川氏は菅直人氏を激しく批判したのだ。

 
「天網恢恢疎にして漏らさず」というのか「やぶへび」と言うのか、菅直人氏はあまり市川房枝氏のことを引き合いに出さない方が身のためである。市川房枝氏の菅直人氏に対する批評が広く世間に伝達され、菅直人氏の人物像が、より現実に近いものに修正されてゆくことになるからだ。
 

 代表選を戦うなら、正々堂々とした前向きの論争を心がけるべきではないのか。とはいえ、菅直人氏は、7月11日の参院選について、菅政権に対する信任投票だと述べた。
したがって、参院選で大敗した以上、自分の言葉に責任を持つなら、主権者国民の意思を尊重して、身を引く以外に選択肢はない。


本来、代表選に出馬する資格はないわけだ。そのなかでの出馬だから、どうしても肩に力が入り、虚飾を施すことになってしまっているのだと思われる。
 

 菅直人氏は道理から外れて総理の座に居座り続け、さらに代表選後も総理の座にとどまろうとしている。しかも、参院選前に主権者国民に示した「信任投票」で大敗した結果に対する行動について、国民にひとことの説明もない。

 
 要するに生きざまがフェアーでない。市川房枝氏が言いたかったのはこのことなのだと思う。市川房枝氏は自分のことを利用するのはやめてほしいと天上で切望しているに違いない。


全文は下記をご参照ください。
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