イスラム思想の分野では国内屈指の研究者の中田考氏、政府から要請があれば自ら仲介する考えを表明


イスラム国」が日本人2人を人質にとり、身代金を要求している事件で、中田考氏は「パイプ役が必要だ」と公の場で日本政府に訴える。

中田考氏、どんな人? 灘高から東大、敬虔な信者 仲介役を申し出
withnews 2015年01月22日3806
http://withnews.jp/article/f0150122002qq000000000000000G0010301qq000011432A

22日にあった記者会見では、「正しい相手と正しい交渉をするためにはパイプ役が必要だ」と述べ、政府から要請があれば自ら仲介する考えを表明しました。また、「イスラム国」に対しては「72時間は短すぎる。交渉のため、もう少し待って欲しい」とするメッセージをアラビア語で読み上げました。

中田考
灘高から東大、専門はイスラム法

 中田さんは灘高から東京大学に入学。文学部イスラム学科を卒業しました。専門はイスラム法です。2011年まで同志社大学の教授でした。今は、都内で会社経営に携わりながら、自由な立場でイスラム研究や情報発信をしています。


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概要: 中東の過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件に関して、イスラム国の司令官とされる人物と古くから交流があるというイスラム学者・...



●「イスラム国と戦う」という発言は不用意だ

私は被疑者の立場にいますので、マスコミの質問も避けていましたし、イスラム国とのコンタクトも避けていました。それは私にとっても問題ですし、先方にとっても迷惑がかかるというのがありました。今回こういうことで、人命がかかっていますので、みなさんの前でお話することにしました。

今回はタイミングとして、安倍総理の中東歴訪にあわせて発表がありました。安倍総理は、中東に行ったことが地域の安定につながる、和平につながると信じていたのだと思いますが、残念ながら、非常にバランスが悪いと思っています。

イスラエルの入植地について反対を直言することで、バランスのとれた外交をおこなっていると信じているのだと思いますが、中東において、そもそもイスラエルと国交を持っている国がほとんどないという事態を正確に実感していないのだと思います。これは中東、アラブ、イスラム世界では非常に偏った外交だと見られます。


安倍総理は)記者会見の中で「難民支援、人道支援をおこなっている」と強調していましたが、もし難民支援、人道支援ということで今回の中東歴訪があったのだとすれば、300万人といわれている「シリアからの難民」の半数以上がいるトルコを最優先にすべきです。トルコが外れているところで、「難民支援、人道支援をする」と言っても通用しないと思います。


訪問国として、エジプト、パレスチナ、ヨルダンと、すべてイスラエルに関係している国を選択している時点で、アメリカとイスラエルの手先と認識されます。人道支援、難民支援のためと理解されないことは、中東を知る者としては常識です。


「中東の安定に寄与する」というのは理解できる発言ですが、中東の安定が失われているのは、イスラム国が出現する前のことです。その中で、わざわざイスラム国だけを名指しで取り上げて「イスラム国と戦うため」と言いながら、「人道支援だけやっている」と言っても、通用しない論理だと思います。


日本人の人質2人がいることは、外務省も把握していたことです。その中で、わざわざ「イスラム国と戦う」と発言するのは、非常に不用意だと言わざるをえないと思います。


●「交渉パイプ」がないと話にならない

テロリストの要求をのむ必要はもちろんないわけですが、しかし、そのことと「交渉するパイプを持たないこと」とは、まったく別のことだと思います。たとえ無条件の解放を要求するとしても、実際に人質2人を解放するために安全が確保されるのか、その間の空爆を止めることができるのか、誰が受け取りにいくのか、どこで受け取りにいくのか。そういったことを正しい相手と正しく話すパイプがないと、そもそも話になりません。


これまで、今回と似たようなケースで「仲介者になる」という偽者が多くあらわれて、それにアメリカがだまされるというケースがたくさん起きています。今回も、そういうおそれがあるわけです。


イスラム国の呼びかけは、安倍政権だけではなく、日本国民に対する呼びかけという形をとっていました。それに対して、われわれは応えるべきだと思っています。もちろん、われわれは民主主義をとっている国ですので、安倍政権に賛成する人間がいれば、反対する人間もいる。その中で、われわれにどういう対応ができるのかが、問われているのだと思います。


●援助が適切な人に届いていない

ここからは、私個人の提言になります。これはもちろん、イスラム教徒、イスラム学者としての立場でもありますし、同時に日本国民として、アメリカ、日本に受け入れられるギリギリの線だということで提言させていただきます。


安倍総理が言ったとおり、日本は、イスラム国と戦う同盟国側に援助するわけですけども、あくまで人道支援に限られるという論理は、イスラム国に対しても同じように適用されるべきだと思っています。


これまでも、人道援助、経済援助の名のもとに、アフガニスタンイラクに関して、日本や国際社会は多くの援助をおこなってきましたが、それが適切な人のもとに届いていなかった。特に、スンナ派の人々の扱いが非常に悪かった。それが、今回の事件の根源にあります。


現在のイスラム国の前身は、イラクスンナ派イスラム運動です。彼ら自身は、アメリカによってイラクが攻撃されたことを、彼らの体験として覚えています。サダム・フセイン政権が倒れたときは、彼らも含めてほとんどのイラク人は、アメリカを歓迎していました。それが数カ月で「反アメリカ」に変わった。空爆その他で、たくさんの人が、特に女性や子どもが殺されたが、それに対して、まったく補償がされていない。現在、それが繰り返されており、イスラム国の支配地域で、多くの人びとが殺されています。


国際赤十字、中東地域では「赤新月社」と呼ばれている団体は、イスラム国の支配下にあるところでも、人道活動を続けていると聞いています。私の提言としては、イスラム国が要求している金額が日本政府の難民支援と同額ということですので、難民支援・人道支援をおこなうという条件を課したうえで、赤新月社を通じて、またトルコに仲介役になってもらって、難民支援や犠牲になっている人の支援をおこなうことが合理的であって、どちらにも受け入れられるギリギリの選択ではないかと思っています。


日本ではあまり大きく報道されていませんでしたが、イスラム国は1月17日に、ヤジーディ教徒350人を無償で、人道目的で解放しています。一つのメッセージだと考えるべきだと思います。


●72時間はあまりにも短すぎる

これから、イスラム国にいる私の友人たち、古い友人たちに私のメッセージを伝えたいと思います。

「日本政府に対して、イスラム国が考えていることを説明し、こちらから新たな提案をしたいと思います。しかし、72時間はそれをするには時間が短すぎます。もう少し待っていただきたい。

もし交渉ができるようであれば、私自身、イスラム国に行く用意があります。1月17日にヤジーディの350人の人質が人道目的で解放されたことは存じています。そのことは高く評価すべきだと思っていますし、印象も良くなっていると思います。


日本人を解放することが、イスラームおよびイスラム国のイメージを良くしますし、私もそれを望んでいます。また日本にいるすべてのムスリムも、そのことを望んでいます。72時間はわれわれにとって、あまりにも短すぎます。もう少し待っていただきたいと思います。


これを聞いていただければ幸いです。ありがとうございます」
弁護士ドットコムニュース編集部


ぐう、ちゃんの一言!! 2015/1/22(木)
「交渉できるならイスラム国に行く用意ある」中田考氏メッセージ(スピーチ全文)
http://blogs.yahoo.co.jp/roor6akio/63448084.html



(そして、「72時間は短すぎる。交渉のため、もう少し待って欲しい」とするメッセージをアラビア語で読まれる。)
また、日本語による、また通訳を入れた外国の記者からの質疑応答
政府からの正式依頼はないがコンタクトはある。
外務省とイスラームとのコネクションは薄い。
等々

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こういう人材がいるということが、そして公に発言できることが自由な国であることの証明だとは思います。
ただ安部政権がどこまで彼のような人をブレーンにできるか? する気があるのか?おおいに疑問です。


人質の事件はたくさんの学者、心理学者、異文化の専門家、ネゴーシエーターのグループが頭脳を集めて、それでも失敗することもあると聞いてます。だいたい安部首相のスピーチはこういう専門家のグループの知恵がいかされているのだろうか?その前にそういうグループを組んでいるのだろうか?
国際問題、特にイスラームに関する問題は専門家の助言なしにはとてもあぶないのではないでしょうか?
あまりにも安易な感じがするのですが。。。