自民党が300議席の予測は、投票率を過去最低以下の55%に設定した場合。低投票率は政権側に国民の声を軽視させる。

総選挙で国民は何を選べばよいのか? 
暮らしの実感を政治に伝える手段が選挙 ジャーナリスト・田中良紹
THE PAGE 12月12日(金)14時20分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141212-00000005-wordleaf-pol&p=1

(略)
今回の解散・総選挙の最大の特徴は投票率を上げないように仕組まれた事だと私は見る。
(略)
最大要因は投票率が6割を切って過去最低を記録した事にある。無党派が選挙に背を向けた事が組織票に支えられる自民党を有利にした。
それは自民党が政権を取り戻した前回の総選挙を教訓にしている。前回、自民党衆議院の6割を超す大量議席を獲得したが、最大要因は投票率が6割を切って過去最低を記録した事にある。無党派が選挙に背を向けた事が組織票に支えられる自民党を有利にした。


もう一つの要因は、分裂した野党が選挙協力を行わず各選挙区で競合した事である。長年にわたって選挙協力を繰り返してきた自公とは対照的であった。
小選挙区で自公が獲得した得票数は2650万票、野党が獲得した総得票数は3200万票で、「二大政党」であったならば安倍政権の誕生はなかっただろう。


メディアの予測で「自民党が300議席を超す勢い」と報じられたが、
予測の前提となる投票率は過去最低をさらに下回る55%に設定されている。安倍政権の思惑通りに国民は投票に行かないと思われているのである。果たしてそれが民主主義の基本とされる総選挙の姿であって良いのだろうか。
(略)


現状を維持するか、現状を変えるか
 選挙は、現状を維持するか、現状を変えるかの選択だと考えれば良い。「自分の暮らしが良くなっている」と思う人は現政権を支持する。
「良くなっていない」と思う人は野党に投票する。
野党であれば投票先はどの政党でもよい。これが民主主義を機能させる。
なぜなら高い投票率は、政権交代が起きなくとも政権にプレッシャーを与え、批判票次第では政権が政策の見直し考えるようになる。


政権交代だけが民主主義ではない。国民の暮らしの実感を政治に伝える手段が選挙である。低投票率は政権側に国民の声を軽視させ、国民の実感を誤って判断させるが、高い投票率には国民の声を政治に反映させる可能性がある。選挙を難しく考えないで投票する事、それが民主主義の基本ではないか。

(ジャーナリスト・田中良紹