日本の公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルト以下という法律の定めがある。しかし、1年間運用された暫定基準は、年間17ミリシーベルトの被爆を認める。これは非常事態の介入値で、安全濃度を示すものではない
たんぽぽ舎【TMM:No1413】2012 4/6
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1.放射性セシウムの食品新基準は
│ 内部被爆犠牲者を出すことを容認するもの
└────(安田節子 食政策センター・ビジョン21)
4月1日より食品中の放射性物質の新基準がこれまでの暫定基準に代わり施行された。
○放射性セシウムの新基準値
食品群 基準値 (単位:ベクレル/kg)
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一般食品 100
乳児用食品 50
牛乳 50
飲料水 10
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1.原発事故後のもっとも重大な被ばく源は食品からの体内取り込みだ。放射線防護の観点から、いかに国民の内部被ばくを防ぐかという思想に立って基準策定されるべきところ、新基準は内部被ばくの犠牲者を出すことを認めるものとなった。
放射線の影響には閾値がないのだから、限りなくゼロを目指して国民の内部被ばくを防ぐ基準を定めるべきだ。その数値にもとづき市場流通前にふるいわけ(スクリーニング)の全ロット測定が実施され、超えたものは東電賠償対象とし、基準以下のものだけ市場に流通する体制を構築するのが政府の責務ではないか。
日本の公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルト以下という法律の定めがある。しかし、1年間運用された暫定基準は、食べる食品の半分が基準ぎりぎりだとして年間17ミリシーベルトの被爆を認めるものだった。これは非常事態の介入値で、安全濃度を示すものではない途方もない緩い値であった。新基準は、セシウムについて5分の1に引き下げたというが、暫定基準が途方もない数値であるから、引き下げたといってもなお高過ぎる。
また主食の米について、一般食品と別に厳しい数値が設定されるべきだった。100ベクレルぎりぎりの米を誰が食べたいと思うだろうか。ウクライナ、ベラルーシでは主食のパンには一般食品より低い基準を定めている。流通する米は一桁レベルの規制値にしない限り、生産者も米流通業者も消費者の懸念のはざまで対応に苦慮するだけだ。