TPPで「国民皆保険」崩壊 病院にかかれなくなる庶民 

 
田中龍作 ジャーナル 2011年10月26日 22:03
http://tanakaryusaku.jp/2011/10/0003085


写真 挨拶する中川俊男日本医師会副会長。「TPPは日本の医療に深刻な影響を及ぼす」
写真 全国から農家の人々が貸切バスなどで駆け付けた。日比谷野音は参加者で埋め尽くされた。

TPPの交渉参加に反対する全国決起集会が26日、日比谷野音で開かれた。集会の実行委員会に名を連ねる「全国漁協」や「全国森林組合」の代表らと共に日本医師会中川俊男副会長が壇上から挨拶した。日本医師会が農協主導の全国集会に出席するのは極めて異例だ。TPPが国民の命と健康をつかさどる医療に直結していることを示している。 
 中川副会長は次のように訴えた――
 「政府は『日本の医療制度は、すぐには議論の対象にならない』と説明するが、納得できる内容にはほど遠い。我々は何も実態のないことに怯えているのではない。2001年以来アメリカが市場原理を日本の医療に導入することを明確に要求してきたからです…(中略)…世界に誇ってきた世界一平等で公平な医療の提供ができなくなる。お金持ちとそうでない人と所得の格差で受ける医療の内容が変わってくる」。

 庶民にとってTPP加盟が怖いのは、国民皆保険の崩壊なのである。理屈はこうだ―
 TPPに加盟するとサービス市場を開放しなければならない。米国が見るサービス市場の代表格は医療だ。混合診療保険診療保険外診療の併合)が解禁されて、株式会社化された病院が本格参入すれば、収益性の高い米国系資本の病院だけが勝ち残る。日本の国民皆保険は崩れ、米資本保険会社が参入する。


 この図式で誰が潤うかと言えば、米保険会社(米金融資本)である。マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』は、国民皆保険でないために病院にもかかれない庶民の悲劇を描く。


 米国の医療保険に関わっていた知人は「すべてに多額の費用がかかる」と強調する。たとえば道端で苦しんでいる人を見て救急車を呼んであげたとする。救急車を1回呼ぶと後から10万円の請求書が来る。(注)救急車を呼んであげた人は「何てことしてくれたの!」と恨まれる。

(注) これ、その通りです。救急車を1回呼ぶと1,000ドルです。保険にかかっていればいいのですが.....保険に入れない人は沢山います。ヒラリーとオバマ大統領が国民皆保険を叫んで2014年から始動する予定で税金を集めはじめたが、反対が多い。大方の保険会社と医者は反対。2014年からだから急いで日本の市場を開拓したいんでしょう、きっと。(Mapple)