厳しい避難生活の中、疲れ果てた心に「希望の言葉を贈り合おう」

The Kahoku Shimpo <<河北春秋>> 2011年03月19日土曜日
http://www.kahoku.co.jp/column/syunju/20110319_01.htm

春の彼岸というのに雪が積もり、何という寒さだろう。地と海の残酷に追い打ちをかける天の非情、さらに原発放射能の恐怖。むご過ぎる運命を恨む日が続く▼避難所で亡くなる人、体調を崩す人が増えている。灯油も薬も何もかもがまだ足りない。ようやく通じ始めたという輸送の動脈から、命をつなぐ物資を一刻も早く避難所へ病院へ。待つ時間の長さといったらない

 ▼大震災から1週間が過ぎた。厳しい避難生活の中、疲れ果てた心には「頑張れ」が重くなる時もあるだろう。悲嘆に暮れる時間から目をそらしたくもなるだろう▼折れそうな心には今、希望を注ぎ込みたい。「希望の言葉を贈り合おう」。がんと闘って生き抜く人たちが呼び掛けた、そんな活動を思い出した。言われて楽になれた、静かに寄り添って力をくれた言葉を集め、本も編んだ

 ▼大震災を生き抜く私たちもそんなふうに希望の言葉を探し出して周囲と語り合ったら、今をしのぐともしびにならないだろうか。アンパンマンの生みの親、やなせたかしさんのこんな詩がある

<絶望のとなりに誰かがそっと腰かけた/
絶望はとなりのひとに聞いた/「あなたはいったい誰ですか」/
となりのひとはほほえんだ/「私の名前は希望です」>。
うつむく一人一人の隣に腰掛けてくれますように。