危機から遠ざかる姿勢の米軍==当然だが「日本の安全は米軍が守っている」の幻想と一致しない。

011年3月20日孫崎享氏のツイッター
http://twitter.com/magosaki_ukeru

自衛隊と米軍1〜6のまとめ 阿修羅 クルテクと森の仲間たち 日時 2011 年 3 月 21 日http://www.asyura2.com/11/senkyo110/msg/370.html

 今回の福島原発の危機をめぐり、単純な事実が浮き彫りに。

  • 自衛隊は日本という社会・国を守るために、個人の犠牲が想定される時でも任務のために動く組織であること。
  • そして米国は自己の利益を考え、危機に必ずしも前線に出るとは限らないこと。

 後者(米国)についていえば、米国はオバマ大統領以下、福島原発の危機を深刻に考え、大惨事が起こる可能性が十分高いとみた。
そのレベルは日本の多くの人の考えるレベルを超える。自らデータ収集のために原発上空を飛んだ。米軍450人放射線事故専門部隊、日本へ派遣したと伝えられた(今何処で何してる?)。 米軍放水車両を東電に貸与した。防護服を東電に提供した。

  • しかし、福島原発の危機を解消する現場の作業に一人の米軍兵も参加していない(注:「最終段階では米軍が出る」という報道は在)。 
  • 逆に軍事船舶の一部を東日本から西日本に移動させ、ヘリを三沢(目的は被災地支援なので該当しないとされる可能性あり)に移動させる等危機から遠ざかる姿勢を示した。
  • 米軍人家族は自主避難費用米政府負担)を実施した。

 私は別に米国を非難するのではない。当然の行動である。
しかし、この事実は現在日本の安全保障の中心の人々が 「日本の安全は米軍が守っている」の幻想と一致しない。

 私は尖閣諸島で日中の武力紛争時、米軍は出てこないと主張してきた。今回、当然な事実、「自分の国を守るのは自分の国の軍であり外国の軍でない」ということを示した。

 我々はこの事実に基づき日本の安全保障の在り方を考えるべきと思う。1969年外務省の幹部が集まり「在日米軍基地は逐次縮小・整理し自衛隊がこれを引き継ぐ」という『我が国の外交政策大綱』を作成した。その精神は今日も有効と思う。

 福島原発をめぐり、自衛隊と米軍の各々の動きを見ることが日本の安全保障の今後を考えるヒントを与えてくれる。


まござき・うける 1943年生まれ 元外務省