将来の日本に希望が ! 長野県松川中学3年C組が発行した[沖縄新聞]


沖縄タイムス 社説 2010年12月10日 09時35分
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-12-10_12707/


[沖縄新聞]中学生が迫った温度差]

 沖縄と本土の報道には大きなギャップがある―。そう気付いた長野県の中学生が新聞を教育に使うNIE授業の一環として、「沖縄新聞」を発行した。

 長野県松川村立松川中学3年C組が8日付で発行した12ページのタブロイド判。
米軍普天間飛行場に近い普天間中学の生徒にアンケートを実施し、長野の中学生の意識調査と比較する手法で、ギャップ=温度差に迫った。
基地だけでなく、沖縄戦、歴史、文化など幅広いテーマを取り上げた。


 3年C組の思い―と題したアピール文で、「中学生にこの新聞を読んでもらい、沖縄の人の気持ちを考えて行動に移してもらいたい。これが願いです」と記した。2600部を印刷、同県内200中学校に郵送した。


 同校は昨年からNIE実践指定校として新聞を総合学習に取り入れている。全国紙が「普天間問題」を大きく報じていたころ、沖縄タイムス紙を取り寄せ読み比べた。「本土は沖縄に関心がない。なにも対応していない―という事実に気付いた」という。


 新聞によってニュースの扱い、報じ方に違いを読み取った生徒のメディアリテラシーは大いに高まっただろう。


 また、沖縄戦が本土決戦に向けた時間稼ぎだった史実を「松代大本営が語るもの」と題しリポート。大本営は敗色濃厚な中、天皇・皇族、政府機能を長野に移すために掘られた地下壕で、「沖縄戦の日から沖縄は何も変わっていない」という壕保存会のコメントを紹介した。生徒は時空を超えて真実を探求した。


 ところで、中学生がNIEで感じた本土と沖縄の「温度差」はなぜ生じているのだろうか。


 本土メディアが基地問題を正しく伝えていない、という不満が沖縄でかつてないほど高まっている。
鳩山由紀夫前首相の「(普天間は)最低でも県外」という公約がほごにされる過程で、基地問題よりも日米関係、発足間もない民主党政権への影響ばかりを報じていた、という印象が強いからだ。


 普天間を使っている米海兵隊の役割や実際の運用状況、政府が沖縄基地の根拠にする地理的優位性の正否を全国メディアは検証していない。


 いま、仲井真弘多知事は基地を沖縄だけに押し付けず、全国の問題として考えてほしい、と訴えている。
この問い掛けに本土側はまだ向き合おうとしていない。
メディアは果たして中学生の読者を納得させられるだろうか。


 社説に当たる3年C組の「級説」は、
在沖米軍がイラクアフガニスタンにも派遣されている事実を指摘し、「それで日本を守ることはできるのか」と問い掛けている。
また、在沖米軍の中東派遣が日米安保条約の適用範囲外であると論述している。


 その上で、
「もう一度沖縄に基地が必要かを考え直すべきだと思います」
と結んでいる。


 そんな本質論を中学生に先取りされる日本のジャーナリズムは大丈夫だろうか。


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