ベトナム戦争:「無知」によるあやまち -マクナマラの告白と反省

BLOGOS 2010年07月04日
マクナマラ回顧録 ベトナムの悲劇と教訓
http://news.livedoor.com/article/detail/4866219/


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ロバート・マクナマラは、ケネディ、ジョンソン両政権の国防長官だった人物です。


ベトナム戦争が泥沼化する過程に直接関与し戦争を指揮したマクナマラが、30年の沈黙を破って過去の過ちを告白したしたのがこの回顧録





われわれはまちがっていました。
ひどくまちがっていました。
その理由を、われわれは将来の世代に説明する必要があります。


 当時のアメリカの政権が判断を誤った理由を、マクナマラは正当化したり、非難を誰かに押し付けることなく、冷静かつ誠実に多くの秘密資料を駆使しながら突き止めていきます。
1997年に発表されたものですが、実に考えされられる本です。


 アメリカはベトナム戦争で巨大な犠牲を払いました。アメリカが1973年に南ベトナムから撤退する時までに、米軍だけで58,000人もの生命を失い、巨額の戦費支出によって経済の活力も失われ、アメリカ社会も政治的に深刻な分裂状況に陥ることになりました。
それから回復するのに撤退後何十年もかかっています。


 アメリカは、判断と能力のよるあやまちに加え「無知」によるあやまちが深刻な失敗を引き起こしたマクナマラはいいます。
具体的には、

  • 相手方(北ベトナム、ベトコン、中国、ソ連)の地政学的意図の判断を誤ったこと、
  • ナショナリズムの力を過小評価したこと、そして、
  • 地域に住む人たちの、歴史、文化、政治、さらには指導者たちの人柄や習慣についての深刻な無知などがあげられます

(これらはいまだにアメリカは克服できていません)。

戦争の泥沼化の原因です。
そしてその根底にあるのは、アメリカの深刻な無知でした。


 この回顧録の精神は、告白と反省、そして「苦しみの報酬は経験である」という精神です。
自分の判断誤りや恥をマクナマラは弁解しようとも擁護しようともせず、失敗に終わった苦い経験から何を学ぶべきかを指摘しているのです。




 この本を読んで感じたのは、戦争で失敗し国家が壊滅した日本では、
国家の指導的立場にあった人達からこのような真摯な自己批判の告白はあったのだろうかということ。
また、日本では経済的な大失政である「バブル」によっても国家経済の崩壊に直面し、今なお苦しめられていますが、
その責任が誰にあるのかすらよくわかりません。


 指導者も、その地位から降りれば無反省で済む日本では、
マクナマラが行った告白の精神を求めるのは困難なのでしょうか。
アメリカでは発表後、賛否両論を巻き起こした回顧録
多くの人に読んでほしい本です。
http://news.livedoor.com/article/detail/4866219/


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