沖縄本島北部、東村高江。国が米軍ヘリパッド建設への反対住民(子どもまで)を訴える


「マガジン9」 http://www.magazine9.jp/realpeace/04/index1.php

普天間基地の「移設」問題が注目を集める一方で、
沖縄県外ではほとんど報道されていない、
もうひとつの「新基地建設」の動きがあります。
沖縄本島北部、東村高江。やんばるの森に囲まれたその小さな集落で、米軍ヘリパッド建設への反対運動に取り組む比嘉真人さんに話を聞きました。


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<高江のヘリパッド建設問題とは>


沖縄本島北部、国頭郡東村にある高江は、希少な動植物の生息地として知られるやんばるの森に囲まれた、人口約160人の小さな集落。



Picture: 「マガジン9」


すぐ隣には、沖縄県内最大の米軍事演習場である、アメリ海兵隊の「北部訓練場」がある。


1996年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意により、この北部訓練場は総面積の約半分が日本政府に返還されることとなった。同時にその「交換条件」として、ヘリコプターの離着陸施設「ヘリパッド」の建設計画が浮上。


6カ所にわたる建設予定地は高江の集落をほぼ取り囲むような形で位置しており、自然環境はもちろん生活環境のさらなる悪化が懸念されている。


突然発表されたこの計画に対し、高江の住民らは2007年7月から工事現場入り口での座り込みなどの抗議行動を続けてきた。
詳しくは住民らによるブログ「やんばる東村 高江の現状」などを。


Picture: 「マガジン9」


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◆「国への反対行為」は「違法行為」?


──さて、高江の問題についてもう少し聞かせてください。住民の皆さんが座り込みを開始して、その後はどうなったんでしょうか?


 一時は、沖縄防衛局から40〜50人もが大挙して押し寄せて、
工事を強行しようとしたりもしたんですが、
みんなの監視もあって結局1年半くらいは工事は進まないままでした。


 でも、それに対してがとったのは、「説明して理解を求める」ではなくて「住民を訴える」という行動だったんですね。2008年の12月、沖縄防衛局から15人の高江住民に対する「妨害行為の禁止命令」などの仮処分(※)を求める訴えが、那覇地裁に申し立てられたんです。

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──「妨害行為」というのは?


 ブログや新聞の記事で座り込みを呼びかけるコメントをしたこととか、とにかく建設に反対する内容の行動はすべて妨害行為にあたるという主張でした。

しかも、15人の「被告」の中には、座り込みしてない人や小さい子どもの名前まであったりと、すごくずさんな申し立てだったんです。


 でも、1年後の去年12月に出た仮処分決定は、15人中13人に対する申し立てを却下したものの、残り2人に対しては「妨害行為禁止」を命令する内容のものでした。
もちろん納得はいきません。
そこで、それに対する不服申し立てということで、今度は逆に僕たち住民のほうから、防衛局に正式な提訴をするよう求める「起訴(提訴)命令」を申し立てたんです。

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──なるほど。結果的に、仮処分の効力も失わせることができるわけですね。


 そうなんです。
で、仮処分の申し立てはもともと政権交代に、
前政権のもとで起こされたもの。
政権交代が起こって、しかも現法務大臣千葉景子さんは「人権派」と言われていた人ですよね。住民に対してこんな人権を無視した、恫喝するような政策はまさか引き継がないだろう、当然提訴は見送るだろう、という期待があったわけです。
もちろん僕たちも、提訴の見送りを求める署名を集めたりもしていましたし…。
ところが、甘かった。民主党政権は今年1月29日、前政権の政策を引き継ぐ形で、
「高江の住民による妨害行為の禁止」を求める正式な裁判を起こしたんです。
結果として、住民の2人は法廷で被告席に座らされることになってしまいました。


 この裁判についてはまだ判決は出ていなくて、口頭弁論が始まった段階なんですが、
もし裁判が進んで、国が勝つようなことがあったら−−
座り込みなどの活動が「妨害行為」だとして禁止される判決が出たら、
ほかの住民運動にもそれが判例として波及してしまうでしょう。
「戦争はいやだ」「基地はいやだ」といって反対する行為が、違法行為だということになっちゃうんですよ。


──そうですよね。基地問題だけではなくて、原発やダム建設への反対行動なども、すべて「違法行為」だとされかねない。そんなメチャクチャな、と思うんだけれど、それが国の行為として、公然とまかり通ってしまっているわけで・・・。


 沖縄自体が「本土」からは離れた小さい島だし、
高江なんてさらにその中でもほんとに小さい集落。
なめられているというか、「人なんていないも同じ」みたいな感覚で見られているんじゃないか、という気がしますね。

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