カリフォルニアのお花見


ラジオでもテレビでも政治の話ばっかり。
すこし楽しいことに話題を変えたくなった。

こちらに住む日本人の友人から、ご自宅での「お花見」にお呼ばれした。
お庭に桜の木が3本あって今が見頃。八部咲き。
白っぽい桜か、妙に濃い桃色の桜が多いなかで、この家の桜は染井吉野によく似た淡い桜色の花を咲かせていた。

日の光はカリフォルニアだから花に直射している。
刻々と変わる日差しの向きで、花の色は微妙に変化していく。
白っぽかった花がだんだんピンクがかってくる。
それも花の中心のピンクの色が濃くなり、花びらの外側は空に透けるかのように白っぽい。
繊細な色の移り変わりは、ただただ美しい。


午後だから暑い位だが、一陣の風が吹くとつめたさの混じった爽やかさが通り過ぎていく。そして花びらがひらひらと舞う。
「はらはらと」ではなく、「ひらひらと」なのだ。


日本のように湿り気のある空気と霞のような空をバックに花吹雪がはらはらと舞うと、胸をつかれるような悲しさをともなうが、カリフォルニアの花吹雪はあまりの陽気さに「滅びの美学」にはならない。
なにか「花の終わり」より、「花びらを浴びて出発」という感じがする。
満開を待たずに、既にところどころにきれいなグリーンの葉っぱが出始めている。


Tシャツでいられる程の陽気で暑いくらいだ。
ポット・ラックで持ち寄りのお料理をテラスで頂き、デザートは家の中に入った。庭に面したリビング・ルームはガラスが全面に張られて、アーティスト・デザインの噴水にかわせみのような色の奇麗な小鳥が水を飲みに来ているのが見える。リスも小走りに通り過ぎた。


通訳の必要もなく、日本語で好きほどおしゃべりができて、おいしいお食事をいただき、似通った価値観の友と楽しい午後を過ごすことができた。
こういう友人が持てたことはとても幸せなことだと実感した。