日本いいとこ住みたい所


友人夫妻がカリフォルニアから日本へ観光旅行をした。彼らは日系アメリカ人で言葉を話さなければ日本人とまったく同じ顔である。やはり自分たちの出所である日本にあこがれて是非行ってみたいと常々心がけていた。なんでも飛行機代を含んで5泊6日で約20万円。こういう手軽なツアーでまずざっと名所を見て、その後じっくりとまた来日するという計画のもとに参加したツアーであった。

旅行会社は中国系の会社とのこと。彼らは安売り航空券にはおそろしく強いのだ。ホテルはけっこういいホテルで、1泊は日本の旅館も計画に入っていた。日本に到着して最初の2日間は夕飯が中国料理だったとか。彼らは安いのだからしかたないという考えでいたが、文句を言う人がでて3日目からは日本料理が食べられたと喜んでいた。

東京では自由時間があり地下鉄に乗ることもできたという。その晩の11時頃のこと。ご主人がどうしてもセブンイレブンで売っている何かを買う必要が出てきて、セブンイレブンを探したがわからなかった。ビジネスマンらしい人が通りかかったので、きっと英語がわかるだろうとセブンイレブンの場所を聞いた。そうしたらその方は4ブロックも離れた所にあるセブンイレブンまで連れていってくれたとのこと。一緒に歩いてである。

彼らは大変感激し「日本人はほんとうに親切だ。こちらでは考えられないことだ。それに夜11時に歩いている人といったら、アメリカなら大変にきけんなことだ。日本は安全だ。その上どこにいっても清潔である。」と驚いていた。
これなら日本に住んでみたいなと思いながら帰ってきたということである。

友人が日本に旅行するに先立って、英語しか話せない日本人の顔をした日系アメリカ人を日本でどのようにむかえられるのか一抹の不安はあったのだが、こういう心配はもうするまい。ほんとうによかったと私まで嬉しくなった。

一般的に日系アメリカ人は日本に対して自分の故郷に行ってみたい、日本について知りたいと強く思っている。日本にいったら、同じ顔をしているのだから同胞として迎えてくれるという期待と共に、日本人と同じ顔をしているのに、日本語が話せないで日本に住む日本人はどう思うのだろうかという心配もしている。

こういう人々に会ったら、是非親切にしてあげてほしいと思う。
日系アメリカ人は戦争中にキャンプ生活を強いられ、アメリカの市民でありながら敵国日本の人間として扱われ、全財産までをとりあげられてきた。そういう中から戦後働いて働いて働きぬいて、子供に教育をさせ、地道に正直に生きてきた。日本人が優秀で正直だという評価は彼らの努力に負う部分も多いと思う。

あらためて、セブンイレブンにわざわざ連れて行ってくださった方、また友人たちに親切にしてくださった多くの日本の方々には友人のために心からの感謝を申し上げたいと思う。