カリフォルニア、記録的な大雨

Mapple2006-04-11


去年のクリスマスの暴風雨で家の庭の月桂樹が3本まとまって倒れた。お正月は雨の後きれいな虹がでたが、その後も雨は降り続け、まるで日本の梅雨と夕立が交互にくるような毎日である。
4月といったら、例年は昼間はT−シャツで、プールサイドの椅子やテーブルのカバーをとったり、庭のベンチを掃除して野外のバーベキュ機具の手入れをする時期であるが、とてもカバーをとったりできない。1週間に2ー3度青空がみえると、皆喜び勇んでタンクトップや、T−シャツで陽の光を楽しんでいる。
見知らぬ人との挨拶も「今日はいいお天気で...」と、まるで日本の挨拶のようだ。それでも所々、時々レインシャワーが降る。「キツネの嫁入り」=お日様がでているのに降る雨だ。

3月から新たな交通法規ができた。雨が降ってワイパーを使う時は必ずライトを付けなければならない。発令の次の日「キツネの嫁入り」になった。空にはお日様がでていたが雨がきたのだ。あれ! こんなに明るいのにワイパーを使うからやっぱりライトは付けるのか? と一瞬戸惑った。対向車を見ると50%くらいはライトを付けている。それならとライトをつけた。外の明るさでライトの使用を各自の判断にまかせる...ということはこの国ではできないだろう。なにしろワイパーを使ったらライトを付けるという明白な基準でないと、警察が取り締まりできなくなるし、言い逃れの人がいっぱいでるからだろう、などと考えながら走ったものだ。
それから約1ヶ月。90%位はワイパーを使ったらライトを付けている。

大雨のため貯水池があふれる懸念からだろう、シュワルツェネッガー知事は10日、カラベラス、フレスノなど北部、中部の7郡に非常事態宣言を発令した。
フレスノは牛の牧畜の農村地帯である。カーボーイハットでウエスターンの服装の人もけっこういる。ここではメキシコ人が(不法移民もたくさんいるのではないか)農家でたくさん働いている。ベイエリアから見ると田舎というか貧しい感じがするが人々はおおらかだ。真平らの土地、どこまでいっても平らでベージュ色の景色が広がり地平線が見える。
(フレスノは地図の右側、下方、緑の森林地帯ヨセミテのまっすぐ下。太平洋に近いサリナスの右内陸に位置する。サクラメントからLAを結ぶ内陸の幹線道路5号線上にある)

ここで水があふれたらどうなってしまうのだろう。水が流れこむ窪みはどこにもないのだから町中は水びたし(!?)になるのだろうか。
牛の食べる干し草はどうなってしまうのだろう。畜産飼料の会社をしている日本の友人はフレスノからも干し草を輸入しているという。今年はここからの買い付けはしないかもしれない。この雨で中部の牧畜経営者や従業員はけっこうたいへんな思いをしているはずだ。

そんな平地の中央にフレスノという町がある。レストランも充実しているがなにしろ田舎だ。その中で有名なステーキハウスがある。ここのプライム リブのステーキはほんとうにおいしかった。牛の本場の真っ只中なのだから当然かもしれない。ベイエリアで評判のステーキハウスもこことは比較にならない。
四ー五十年前のアメリカのレストランの雰囲気、赤いビロードの壁に暗いランプ、年輪浮き出す使いこなした木のテーブル。ハニーマスタードやサウザンド アイランドのサラダのドレッシング。ベイエリアではイタリアン、フレンチ、ブルーチーズなどヨーロッパ調のドレッシングが多い中、タイムスリップしたような感じだ。
このレストランも水浸しなんていうことにならないように、町が安全であることを祈っている。

それにしてもこの雨はいつまで続くのだろうか。天候がほぼ一定の場所では挨拶に「今日はいいお天気で..」とはいわない。日本は何時どういう天気にかわるかわからない。だからこそ気持ちのいい晴天を隣の人と喜びあう。「お日柄も良く..」という挨拶が自然にかわされる。カリフォルニアでも今年は「How Are You?」だけでなく天気の会話をするようになった。今日は黒雲たちこめ、今にも雨が降りそうな空模様。「今日も雨でうっとうしいですね」という日本の挨拶がここカリフォルニアでもかわされることであろう。