不法移民のデモ

既にニュースでご存じであろう。不法移民の処置が今度変わる。それに対して、反対のデモが先日起こったが、ここベイエリアでは静かで、不法移民かそうでないか外からは分別できないラテン系の人々は何事もないように普通に生活している。
不法移民は新しい法律によれば法律的に処置されるということだが、メキシコの国境をわたってくる以外の不法入国者は、捕まって強制的に自国に追い返される。
そのために日本人が長期にアメリカに滞在するには、あの悪名高き「アメタイ」=アメリカ大使館でビザを取得しなければならない。長い時間並んで挙げ句のはてにつんけんと冷たくあしらわれて書類が不備だからまた来るようになどと追い返されて...。
こちらで通称グリーンカードを取得するにも、10年前頃までは朝の6時から事務所の外に並んで何時間も待ち、申請書をやっともらって帰る。そして書類を整えて10本の指の指紋をとられて、耳をだした写真を撮って又提出するため何時間も並ぶ。そして後日面接。弁護士をやとえばもう少し簡単になるが。
そうして始めて長期滞在ができるわけだ。
なぜそうするかというとそうしないと不法居住者になるからだ。日本人で市民権でなくグリーンカードを保持する人が日本に居住する日本人と結婚されたが、お嫁さんのビザがとれるまで日本とアメリカで何年か別居していた。その頃は法律がそういう状態でそういうカップルもいた。
法律はくるくる変わる。その度に許可証の取得方法は変わる。
911以来だいぶめんどうになったようだ。日本の場合はアメリカの同盟国として莫大な税金を使い、多大な協力をしているのだから、こういう時こそ区別してもよさそうなものだけど、などと思ってしまう。
でも、メキシコから不法に入国した人たちは不法移民でも見逃されている。彼らは免許証まで出せと要求し、それがかなわないと、なんと非人間的かと非難する。英語を教えるボランティアーや、滞在許可を取得するための弁護士の無料相談所も公式機関として整えられているし、医療費は無料である。
40才にもなればほとんどが孫をもつから、20年で一人の不法移民が15人から20人に膨れ上がる。彼らは親が不法移民でも皆アメリカ人。
こうして考えると、日本人が不法移民したら即、強制送還だがメキシコ人を同じように扱おうとするとデモになる。これは彼らの労働力をあてにしている経営者がいるから黙認してきた経過があり、社会問題としての既成事実があるからだろう。
メキシコ人はスペイン人の末裔という意識が強い。それならこの国でなくメキシコが自分の国でしょ..でなければスペインに行ったら..などといいたくなるが、彼らは現地先住民族との混血だから、都合のいい時はカリフォルニアは自分たちの土地だという。
こまっってしまうのである。その上メキシコ人は人柄がいい。何も考えてないようなイノセントな顔でにっこり。こういう笑顔に出会えば思わずこちらもにっこり。もうこの問題は考えたくなくなってしまうのである。