英語のラジオを聞く勉強

米国に長期滞在されたことのある方から「英語のラジオは聞くのがむつかしかった」というコメントをいただいた。そこで今日はどんな勉強が役立ったか書いてみようと思う。

ゆっくりしゃべってくれれば分かるのに..とか、読むならいいのだけど..という方はたくさんいらっしゃると思う。15年前こちらに来た私にとって一番やっかいだったのは前置詞が聞き取れない。前置詞によって、ニュアンスや意味まで違ってくることがあるのでこれには困った。たとえば、「Bring it」なら「それを持ってこい」これはだれにでもわかる。ところが「Bring it on」と「on」が入ると、「あれ?」と考えてしまう。これはチアーガールの映画の題名にもなったが、「全力でこい!」とでも訳してみようか。辞書ではちょっと違う表現になっているが..。ともかく前置詞にはまいった。

そこで週1時間、前置詞だけということで個人の先生に習った。彼女は日本語が一応話せて、日本に住んだことのあるアメリカ人で、日本人が前置詞には手を焼いていることを知っているし、日本語の感覚とのずれも知っている。
お茶会のお作法を書いたマンガの本を教材にした。まず自分で日本語から英語に訳す。それを先生が正しく訳し直してくださり、テープにとって、家で何度も聞くというやり方だった。

それを1年やって、次の1年はイントネーションの矯正をしていただいた。教材はジャズシンガーが書いた子供向けの本で、ジャズの歌詞を題材に、言葉、フレーズのリズム感を楽しく学べるようになっている。そのお稽古を10分くらい。そのすぐ後に、大人の文章のリーディングの稽古をする。先生が机でリズムをとるのに合わせて読む。机が「ト、トーン、トーン、トトン、トン」と鳴る。息の次ぎ方や、リズム感を付けるために付け足す一言なども学んだ。

家では同じ映画を何度も見る。テレビのニュースを何度も見る。新聞を何度も読む。同じものを何度も見たり、読んだりは日本にいるころからしていたが、これは楽しみでもあったので、こちらに来ても続けていた。これは別に勉強とは呼べないが、ラジオを聞くにはいい入り口だったと思う。

大学できちんとクラスをとることも大切だと思う。いわゆる「お勉強」をしないと言語表現と理解のレベルが停滞してしまうからだ。

もう一つ大切なことはアメリカ人から学ぶだけでは不十分ということである。日本人の先生から学ぶことも必要だと思う。日本語と英語のギャップが分かった上での教え方だから、アメリカ人の先生からは得られないアプローチで習得できる。

お勧めは電通大の酒井先生らが始めた「めざせ100万語、多読で学ぶSSS英語学習法」 http://www.seg.co.jp/sss/
このサイトを見て、酒井邦秀 著「まず英和辞典を捨てよ」と「英語のシャワーを浴びる」両方とも 出版は日経ビジネス。この二冊がたいへん役にたった。

ラジオという媒体は、テレビ、新聞で報道されたものを素材にして、トークショーのホストが自分の見解を話すことが多い。そういう意味でテレビ、新聞に眼をとおしておけばおおよそ分かる。電話で一般の人が参加する番組は癖のあるしゃべり方の人もいるが、わかりにくい場合はホストが繰り返して確認しながら進めてくれることが多いので問題ないと思う。要はおしゃべりなんだからと思えばいいわけである。

それでもはっきりしない個所は主要放送局はホームページを持っているので、当該番組をインターネットでもう一度聞くことができる。そんな時、ネイティブの家人に確認をしてもらうこともある。
このブログを書くこと自体が自分にとってはチャレンジであり、たいへん勉強になっている。というわけで、この機会に読んでくださる方々に厚くお礼を申し上げたいと思っている。