全米で未婚の母の出産率の増加

Mapple2005-10-30


マイケル サヴェッジがこんなニュースを取り上げて問題を投げかけてくれた。彼は「サヴェッジ ネイション」というトークショーのホスト。歯にもの着せぬ物言いに人気があるが、基本的に超保守派と言えよう。ただ、科学者としての知識を駆使して発想は自由闊達、いわゆる頭の固い保守派イメージとは程遠いところが人気の秘密であろう。

写真:マイケル サヴェッジ mickaelsavage.com

全米で今年は未婚の母の出産率が記録的にのびたというもの。
(RANDOLPH E. SCHMID ASSOCIATED PRESS WRITER 10/28/2005のレポートより)
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WASHINGTON -- 昨年度2004年の記録によると、全米で150万人近い赤ちゃんが未婚の母から生まれたと10/28、発表された。これは10代の女性から生まれた赤ちゃんだけではない。
健康統計センターのステファニー ヴェントゥーラ(Stephanie Ventura)は「10代と未婚は同義語という印象をもつのは一般的だが、去年の10代の未婚の母は24%と、1970年の50%からかなり下がった。
未婚の母が増加したのは20代で、特に25才から29才の女性。この年齢グループの女性はパートナーと同棲しているが、正式な結婚をしていない。
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結婚していようが、いまいが、20代というのは一番子どもを作る時期である。10代で母となった女性の80%は結婚していない。2004年は147万152人の赤ちゃんが生まれ、前年の141万5995人を上回った。
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NCHS(National Center for Health Statistics=健康統計全国センター)のブラディー ハミルトン (Brady Hamilton)によれば、高年齢出産率が増えており、仕事でキャリアーを積むか、家庭を持つかの選択の影響によると述べている。35才から39才の母は2003年と比べて4%の増え、40才から44才の母は3%、45才から49才の母親は9%伸びている。
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既婚、未婚問わず、米国全体の出産は2003年は408万9950人だったが、2004年は411万5590人と増えている。
白人は前年より1万8千人少なくなって、ヒスパニック(中南米人)は3万2千人の増加、アジア人は8千人、黒人は72人の増加。
15才から19才の出産率は1991年以来減少している。
National Center for Health Statistics: http://www.cdc.gov/nchs
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さて、この統計をみて何を考えたらよいのだろうか?
まず全体の出産率からすると、白人の赤ちゃんは1万8千人の減少、黒人は、たったの72人の増加にとどまった。ヒスパニック(中南米人)は3万2千人、アジア人は8千人の増加ということは移民が4万人増加していることで今後もますます移民系は増え続けるだろう。もともとアメリカは移民の国なのだから移民が増えて困るなんてアメリカン インディアン以外誰もいえないのではないかという人もいるだろう。そうかもしれないが、この現象がもし日本でおこったらどうなのであろうか? 血が混ざる、文化も混ざる!でいいのかもしれないし、異民族が自分たちの習慣ややり方をもちこんでコミュニティーを作っていくことに危機感を感じるかもしれないし....。
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話は戻るが、10代の未婚女子が減ったことは避妊、エイズの防止等の学校教育、社会教育をとおしての成果かもしれない。
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問題は結婚という形をとらない20才代以上のカップルが出産をむかえるという現象だ。これは問題ではなく自然な形であるという人も多いかもしれない。そもそも結婚という形をなぜとらなければならないのか?といってしまえばそうかもしれない。宗教離れも結婚という形態をとらなくなった一因かもしれないし、女性の社会への進出も大きな要因かもしれない。
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なにはともあれ、生まれた赤ちゃんがすくすく元気に育って、温かい心をもち教育もしっかり身につけてまっとうに生きてくれればいいわけであるが、他人事ながら心配の種は尽きない。
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最近気が付いたことだが、こちらでは親から「おまえはいらない子だった。早く家をでてくれ」と言われて育つ子が水面下にけっこういる。そういう子はハイティーンのころから働いている。クリント イーストウッド監督、主演でアカデミー賞を総ナメした映画「ミリオン ダラー ベイビー」の主人公もその例である。かたや、親からクレジットカードをもらって、使いたい放題使う甘やかされた子もごまんといるのだが.....。
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強がっていても親の「おまえはいらない」という言葉は彼らの心の奥で傷となって残っている。その傷がプラスに出て逞しく生きられる人ばかりではないし、プラスに出ても傷が消えているわけではない。生んだからには結婚していようと、いまいと両親とも子どもに責任をもってもらいたい。こういう傷をかかえた子どもが少しでも少なくなることを切に、切に願う。