ブッシュ夫人、ローラ

日本のニュースをインターネットで見る限り、かなりブッシュの評判は良くないようだ。推測だが、日本のニュースはCNNとか、ニューヨーク タイムズ、ワシントンポストからその多くを入手しているのであろうか?。CNNは「コミュニスト ニュース ネットワーク」などとジョークで呼ばれている。いずれも左派寄りのメディアという感じがする。カリフォルニアは反イラク戦争、反ブッシュが多数の州である。そういう意味では日本のニュースは平均をおさえているといえるかもしれない。しかしラジオは既成ニュースの真偽に迫るものが多く、車社会の中でラジオを聴く人口を考えると必ずしも大メディアのニュースが人々の総意を伝えているとは言い切れない。
という意味で今回は世界中から悪評高きブッシュの人間的な人柄について触れてみよう。
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まず、今回のカテリーナで政府の対応が遅れたとして、ブッシュは「自分の責任」と述べた。ルイジアナ州の知事、市長が、すべてをブッシュのせいにしている最中でも、彼らを批判することは一度もなかった。彼はあまり弁解をしないし、直接的に他のせいにする発言や、過去の出来事を責める発言もほとんどない。
スピーチも言葉に詰まったり、心の動きが顔にでたり、人間的な一面を出す。その「おとうさん的なしゃべり方」に好感をもっている人も多いと聞く。
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去年の選挙戦のディベートでは対抗候補のケリーのスピーチの方が立て板に水さながら迫力はあった。
でも人間性はというとケリーはどうも信頼がおけない印象。夫人もかなり評判が悪かった。彼女はディベート後のスピーチの中でブッシュ夫人、ローラ ブッシュを槍玉に挙げ、「彼女は仕事をしたこともない。ただの主婦ではないか。私は仕事を持ち、仕事をする人間のことがよくわかる」と言って彼女自身の評判を下げた。前のご主人が屈指の大金持ちで別れた後、大金を掴みケリーと再婚した彼女は大邸宅を国の内外に5軒も6軒ももつ。夫人の仕事は自分の財産で作ったファンドの管理と、夫ケリーを大統領にすることだ。(これがほんとうに貧しい民衆の味方なのだろうか)
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一方ローラ ブッシュは大学を出て学校の先生をする傍ら大学院にかよい、図書館関係の修士を取り、その後図書館で働いていた。30歳前後の時に友人宅のバーべキューでジョージ ブッシュと会い、6ヶ月後に結婚。彼女はインタビューでブッシュの第一印象を「....kind of cute]と。これは女性が男性に対して「ちょっとかわいい」「ちょっとすてき」という意味でよく使われる。
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どちらの夫人が庶民的かというと、圧倒的にローラ ブッシュであることはおわかりいただけるであろう。ブッシュへのインタビューで「ケリー夫人があなたの奥さんは専業主婦で仕事をしたこともないといっているがそれを聞いてどう思うか?」という質問に「専業主婦の生き方も立派だと思っている。私はそういう生き方を否定しないし、家族のために働いてそれはそれで尊重している」と答えた。ブッシュは『いや、私の家内だって、先生と図書館の仕事をしてきて、今だってコミュニティーのことに尽力している。』などと弁解がましいことは決して言わない。そういうところがブッシュ夫妻のよさではないかと思う。もちろん、専業主婦の票を考慮した発言といってしまえばそれまでだが。
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ブッシュ大統領の政策にローラがどれほど影響をあたえているかという質問にはローラはこう答える。
「彼には彼の専門のスタッフやアドバイサーがいる。私は単なる彼のワイフにすぎない。」と。
ディベートではブッシュの反応がいちいち顔にでて、テレビはその顔の変化を繰り返し繰り返し流してはジョークに使ったのだが、「それを見たか?」という質問に彼女はこう答えた。「全部見てます。夫婦で笑って見ました。でも、”しわ取りクリーム”をガチガチに塗り固めて何の表情もないよりいいのではないかしら」これはケリーが”しわ取りクリーム”をつけていることと、彼の表情はまるでロボットのように変化がないことをジョークにしたもので、これをいつもの美しい笑顔でさらっと言ってのけた。これだけで彼女の人気はかなり上がった。それまであまり表にでてこなかったファーストレイディーがたいへんなユーモアの持ち主だったと大衆は知って、拍手をもって受け入れたのだ。彼女は夫のブッシュのことも上手にジョークにする。彼女の発言はいつも好感をもって全米に流される。
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ブッシュの人間的人気はローラ ブッシュに負うところが多いと思う。また彼の正直な印象と、言い訳をしない、デテールの説明が苦手という点は日本の男性に近いものを感じて好感がもてる。

しかし政治家として、ましてや大統領としての評価は別物。いろいろな意見があってしかるべきだし、その点の私個人の考えはまた別のところにある。それでも彼に対する罵倒『ヒトラーと同じ』とか、『独裁者』『大量殺人者』『馬鹿』だとか、そういう言葉を反ブッシュ キャンペーンに使うことははっきりと反対する。政策で対抗してほしい。
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このところブッシュは保守派からも批判を受けている。彼がメキシコとの国境を閉鎖しないのが主な理由だ。
ローラ ブッシュもたいへんだとは思うがインタビューを受け、その内容は11月にオンエアーされるそうだ。あの美しい笑顔はこんな政局の中ですがすがしいそよ風のようでオンエアーが待たれる。