21世紀の「保守派」と「進歩派」

アメリカに住んで一番カルチャーショックを感じたのが、すべての人々がダーウインの進化論を信じているわけではないという現実を知った時だった。信じない人はどう考えているのかというと、聖書に書いてあるように神さまが7日で世界を、人類を作ったという考えは捨てきれないというものだ。
そういう人が多いことは本やニュースで知ってはいたが、身近にいる親しい友人で教育も地位もある人からそういわれるとひっくり返るほど驚くのだ。
彼らはこの世を神が創造したという証明はできないが、進化論も証明することはできない...だから神が人間を創ったことも「?はてな」マークであるように、進化論も「?はてな」マークがつく。ならば、子供の頃から教会で教わった「神がすべての創造主」であるとした方がしっくりするというのである。
日本の場合はダーウインの進化論は既に少し古いイメージで、さらに「進化した」考え方が広まっているようで、「神がすべての創造主」とこの21世紀に信じることができる方が不思議な気がする。仏教や神道の伝統から、宗教と科学を対立させる必要がないからかもしれない。
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今日ジェフ カーツ(Jeff Katz)のトークショーの最後の部分を耳にした。かれはユダヤ人でフィラディルフィアの警察庁出身のホストである。コミュニティー アクティヴィティーを基盤とする彼だが、ユダヤ教信者とキリスト教信者の和合にも力を入れているそうだ。
彼は言う。「かつてガリレオが地球が丸いと言って監獄にぶち込まれた。そして地球が丸いという書物もすべて焼かれた。でも、地球は丸かった。今ダーウインの進化論が正しいと口を揃えて科学者たちは言う。科学だけを信じる者もそれに追従している。『神がすべての創造主』と考える者を彼らは馬鹿呼ばわりして笑いものにする。学校でそう教えるのを阻み、そういう考えを排斥しようとしているのだ。この現象はちょうど、ガリレオが監獄に入れられたのと同じではないか?
現代は科学だけを信じ、科学が宗教になっている。」
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もう少し聞いてみたいところで番組は終わった。
そしてカリフォルニア時間で午後3時、ハード ロックの音楽にのって、マイケル サベッジの登場だ。
「紳士、淑女の面々よ、マイケル サベッジだ。ブッシュはほんとうに保守派だと思うか? 私は言う。彼は保守派ではない。左派だ! 彼の兄弟が移民の枠をさらにひろげるなんて騒いでいる。なにを考えているのか!
メキシコ人と中国大陸の中国人がわんさかやってきて、子供をぼろぼろ生んで、その子供は皆アメリカ人だ。各々の子供には親戚がわんさかとついていて、その「わんさか」がまたアメリカに入ってくる。この膨大な移民の医療費、教育費、住宅費、Food Ticketは誰が払っているのか! 我々の税金だ。これ以上ふえてどうやって彼らをやしなっていけというのだ。
イランの問題もブッシュは手ぬるい。みんなアメリカを嫌っているので怖気づいたか! アメリカの中でもアメリカ嫌いは多い。でも、紳士、淑女よ、目を開け! 現実を見よ!イラン問題をほうっておいたら、後年、世界中が頭をかかえるようなことになるのは明白だ。」と叫んでいる。
今日のマイケルはいつもより一段と過激なようだ。過激な「雄たけび」になるとハードロックがまたBGMでなりわたる。やはりおかしい。過激なしゃべり方がどこかコミカルで、計算してトーンをあげ、誇張してしゃべっているようだ。皮肉か、冗談か、本音かわからないままについつい笑ってしまう。彼は科学者で博士号をもっている。本来はドロップアウトのハード ロックとは程遠い存在であるはずだが。
「神が創った人間」と考えるより、進化論を信じるほうが「保守派」になってしまった今、何をもって「保守派」とか「進歩派」というのかだんだんわからない時代になってきた。
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こういうマイケルが進化論をどうとらえるのか、科学と宗教の関係についてどう答えるのかちょっと電話をして聞いてみたくなった。